こんにちは、草食系高校教師です。
今日は「【高校】指定校推薦(学校推薦型)入試 〜校内選考の基準とは?推薦会議を乗り越えろ〜」をお伝えします。
夏休みが明けると高校3年生の進路活動が本格化してきます。高校3年担任の先生は、調査書発行・推薦文作成・面接指導・小論文指導など、大忙しな毎日を送っているに違いありません。
さて、9月〜10月にかけて指定校推薦の校内会議が行われる時期です。生徒の人生を左右する大事な会議ですので、学級担任の皆さんも生徒以上にドキドキしているのではないでしょうか。
今日は校内選考の基準を中心に、指定校について詳しく見ていきましょう。
2020年度から名称が変わりました。
「指定校推薦入試」は2020年度実施の入試から学校推薦が入試に名称が変わりました。
名称が変わっただけで、指定校推薦入試の内容や方式は特に変わっていません。
以下が変更点になります。
「公募制推薦入試」・「指定校推薦入試」・「自己推薦入試」→ 学校推薦型入試
「AO入試」 → 総合型選抜入試
指定校推薦とは?
指定校推薦は大学側が決めた指定校(高校)の生徒のみが出願することができるシステムです。
簡単に言うと、大学から高校に「生徒◯名の枠を確保しています」ということになります。
高校によって指定校推薦の人数枠や学校数が違い、高校のレベルが高ければ高いほど上位の大学からの指定校推薦があります。
募集枠は学部ごとに1〜5名、学科ごとに1名〜3名程度が多く、大学側から人数が指定されます。大学によっては、人数が超える場合は相談してくださいと記載されているところもあります。
- 7月〜9月大学が指定校枠を作る高校へ書類を送付
- 8月〜9月高校が学校名・枠数・出願基準・出願期間などをまとめたものを作成
- 9月9月〜10月に生徒に公示
校内推薦会議で重要視されること
校内推薦会議で生徒を選出する時に重要視されていることをお伝えします。
それでは大学側から来る書類に記載されている出願条件の例と合わせて項目別に見ていきましょう。
評定平均値
評定平均値(高校3年生1学期までの成績を5段階評価で表したもの)が校内推薦で最も重要視されると言っても過言ではありません。
評定平均値の出願条件は大学のレベルにより大きな差があり、これまで何百校の指定校推薦資料を見てきましたが下は2.7から上は4.5の幅で大体が設定されています。
また、教科や科目を限定した評定平均値が出願条件になることがあります。
「コミュニケーション英語Iとコミュニケーション英語IIの評定平均値が4.0以上であること」と記載されている場合もあります。
欠席日数
欠席日数は評定平均値の次に重要視されます。
欠席日数の出願条件は「20日以内」か「30日以内」という記述が多いです。学校によっては具体的に「高校3年生1学期までの欠席日数」や「高校卒業までの欠席日数」と決められています。
しかし、大学側の出願条件をクリアしたとしても、高校の教務内規にある欠席日数をクリアしなければいけません。
高校により基準は異なりますが、「高校3年生1学期までの欠席日数が10日以上の生徒は推薦しない」や「高校3年生1学期までの欠席・遅刻・早退の日数が30日以上の生徒は推薦しない」といった文言がありました。
「高校卒業までの欠席日数20日以内」と基準が決められている場合、指定校推薦会議までに15日以上20日以内の欠席がある生徒は高校卒業までに20日を超える可能性があるので推薦をするかどうかを気をつけなければいけません。
履修状況
履修状況は、確認することが必要になります。
出願条件に「化学を履修していること」「世界史を履修していること」と記載されている場合があります。
したがって、出願を考えている生徒が科目を履修しているかを確認する必要があります。
履修基準があるため、教員は高1や高2の科目選択の時から先を見据えて指導しなければいけません。
資格
資格は、国際学ぶや語学関連の大学の出願条件によく記載されています。
「英語検定◯級取得必須」や「GTEC◯◯◯点以上」などの資格になりますが、2020年度からCEFR(セファール)で表されるようになり「CEFR◯◯以上」と記載されている大学が多くなりました。
校内推薦会議では、同じ大学・学部・学科を志望している生徒が2人以上いる場合、総合的に判断しますが資格の級や点数で決める場合も少なくはありません。
外国語のコミュニケーション能力を表す指標で、欧米を中心に広く使われている国際標準規格のことです。A1〜C2でレベル分けされます。
部活動
部活動は入部していないより入部していたほうが良いでしょう。
3年間部活を継続できているということは「継続して物事を行うことができる」と判断されます。したがって、進学してからもしっかりと通学してくれると判断されます。
大学の出願基準に「部活動に3年間所属していること」や「部活動に入部していない生徒は出願できない」等の記載はありません。
素行(特別指導があったかどうか)
素行(特別指導があったかどうか)も同様に、重要視される項目の1つです。
素行不良の生徒、学年主任訓戒・生徒指導部長訓戒などがある生徒、謹慎・停学処分がある生徒は厳しく判断されます。
希望した大学の枠が埋まっていない場合でも「推薦を許可しない」ことがあります。
実際に大学側から来る指定校推薦例
評定平均値:全体の評定平均値が4.2以上かつ英語の評定平均値が4.5以上
欠席日数:「高校卒業までの欠席日数20日以内」
履修条件:「数学III」を履修していること
資格条件:CEFR B2以上
評定平均値:全体の評定平均値が3.0以上
欠席日数:「高校3年生1学期までの欠席日数30日以内」
履修条件:なし
資格条件:なし
大学側から来る書類には上記の例のように記載されています。
校内推薦会議での選考基準
9月中に校内指定校推薦会議が行われると思います。
生徒の志望する大学が重なり、推薦枠を上回っている人数が応募した場合は校内推薦会議で決めなければいけません。
対照的に、推薦枠を上回っていない人数の場合、特に問題がなければそのまま推薦することになります。それでは選考基準を見ていきましょう。
これらが大きな選考基準になります。
突然ですが問題です!
問題
以下の2人の生徒はどちらを推薦するべきでしょうか。
(出願条件:全体の評定平均値4.2以上・高校3年生1学期までの欠席日数20日以内)
生徒A
評定平均値:全体の評定平均値が4.1
欠席日数:0日
活動歴:野球部キャプテン
人柄:明朗快活
生徒指導歴:なし
生徒B
評定平均値:全体の評定平均値が4.4
欠席日数:10日
活動歴:なし
人柄:態度素行に問題あり
生徒指導歴:継続的な頭髪指導
問題として設定しましたが、正解はありません。
生徒を比較すると、評定平均値は生徒Bが上回りますが他の点では生徒Aの方が良いでしょう。しかし、このようなケースは珍しくありません。
学校長や進路指導部長の方針が学力優先であれば生徒Bになることもありますし、特に方針がなければ学校の貢献度や進学後の活躍を考えて生徒Aになることもあります。
さらに、別の考え方としては校内選考に落選した後、AO入試、公募制推薦や一般入試で実力的に戦うことができるかどうかも判断基準になります。
戦うことが可能であればあえて指定校推薦を落とすこともあり得ます。
そして、推薦会議にて決定を大きく左右するのは2人の生徒と深く関わってきた担任の思いです。最後にGOサインを出すのは校長ですが、実のところ最終決定権は学級担任にあると言っても過言ではありません。
裏事情
世にも奇妙な裏事情をお伝えしますね。笑
うらめしやー
わー!!!!
指定校推薦は大学と高校の信頼関係で成り立っています。特に、レベルの高い大学と信頼関係を築き、指定校推薦枠をもらうことはとても難しいことなのです。
したがって、学校側が最も嫌う生徒は進学した後に不登校になったり退学してしまったりする生徒です。そうなってしまうと次年度の指定校推薦枠がもらえないことがあるからです。
つまり、指定校推薦枠がもらえないということは、次年度の進路実績が良くないということになります。
そう考えると指定校推薦会議って実は重要な会議だったりするのです。
オススメ書籍
最後に
今日は「【高校】指定校推薦入試 〜校内選考の基準は?推薦会議を乗り越えろ〜 」をお伝えしました。
生徒の進路先を決める大切な指定校推薦会議ですが生徒の頑張りが見える場でもありますよね。高3担任は生徒と直接向き合うことが多くとても大変ですが、生徒と深く関わった先には生徒の合格という喜びが待っています。
そして、それが卒業時には大きな達成感で溢れるでしょう!!
本日は以上です。お読みいただきありがとうございました。もしよろしければ下のランキングをポチッと押していただけるとありがたいです。
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