みなさんこんにちは、草食系高校教師です。
今日は「【中学校・高校】指導力不足教員(研修措置教員)とは? 〜定義や認定方法〜」をお伝えします。
2022年6月14日、教員免許の更新制度が廃止されることを受けて、自民党の文部科学部会が新たな研修制度の提言をまとめ、前文科大臣(2022年10月現在)の末松信介に手渡しました。
そこには指導力不足の教員に、分限免職や他職種への転任、再研修の命令など厳格な対応を取ることが明記され、前文科大臣が「着実に進める」と応じたことが教育界では多少話題になりました。
その後文科大臣が変わったためこの施策が進められるかは定かではありませんが、昨今、校種問わず触法行為が多いため何かしら前進するかもしれません。
今日はその「指導力不足教員」別名研修措置教員とは何なのかを深掘りしてお伝えしていきたいと思います。
それでは見ていきましょう!
指導力不足教員の定義
まず初めに、指導力不足の教員の定義を見ていきましょう。
実のところ、定義は「各都道府県」と「指定都市教育委員会」ごとに公表されています。
それでは、3道県の例を見ていきましょう。
病気・障害以外の理由により、児童生徒との人間関係を築くことができないなど児童生徒を適切に指導することができないため、当該教員が担当すべき授業を他の教員が分担して行うなどの状況にある者のうち、継続して特別な指導・研修を要すると認定された者
北海道
特別に指導力の向上を要する教員とは、疾病等以外の理由で、児童生徒を適切に指導できないため、研修等の措置を講じて、特に指導力の向上を図る必要があると決定された教員
千葉県
児童又は生徒に対する指導が不適切で、この要綱(指導力不足等教員の取扱いに関する要綱)に基づいて研修等必要な措置を講ずる必要があると認定された者
広島県
このように、各都道府県や指定都市教育委員会がそれぞれ定義されていますが、簡単に言えば「児童や生徒に対する指導力が不足している教員」のことです。
それではどのような観点項目があるか見ていきましょう。
観点項目
次に「観点項目」を見ていきましょう。
全ての自治体をの観点項目を挙げることできないので、基準が明確であった香川県の例を見ていきましょう。
4項目ありますが、この記事では2項目(専門的知識・技術等の不足と学習指導能力の不足)をそのまま紹介します。
以下にリンクを載せておきますので、残り2項目はそちらで確認してください。
①教科に関する専門的知識や技術等が不足しているため、学習指導を適切に行うことができない。
1つ目は、いわゆる「専門的知識・技術等の不足」です。
香川県では大きな項目をさらに項目別に分け、その項目別の中にも具体的な評価基準が公表されています。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1-教科に関する専門知識や技術が不足している。
- 指導する教科について、学習指導要領の趣旨を理解していない。
- 指導要録に示された観点に基づいて評価を行うことができない。
- 教える内容に間違いが多く、児童生徒や保護者からも指摘される。
- 児童生徒の質問に答えることができない。
- 自分の考えを押しつける。
2-指導計画の素案や指導案を作ることができない。
- 授業が無計画で場当たり的であることが多い。
- 授業展開の意図が不明である。
3-教材研究を行わない。指導や教材選択の工夫が見られない。
- 安易に既成のプリントで間に合わせることが多い。
- 自習時間が多い。
- 教科書の朗読や漢字の書き取りですませることが多い。
4-適切な試験問題を作成したり評価することができない。
- 教えていないことを出題する。
- 市販の問題集からの安易な流用が多い。
- 試験の採点に間違いが多い。
- 適正な評価ができない。
以上が「①教科に関する専門的知識や技術等が不足しているため、学習指導を適切に行うことができない」の項目でした。
②指導方法が不適切であるため、学習指導を適切に行うことができない。
2つ目はいわゆる「学習指導能力の不足」です。
それでは上記同様に、各項目と具体的な評価基準を見ていきましょう。
1-児童生徒の実態を無視した指導を行う。
- 児童生徒の反応を見ない一方的な授業で、やりとりがない。
- 児童生徒の興味関心を無視する。
- 質問に答えようとしない。
- 自分の考えを押しつける。
- 高圧的な言動が多い。
2-授業の進め方に一貫性、計画性がない。
- 学習進度が遅れたり、早く終わりすぎて自習が多くなったりする。
- 授業を余談で終始する。
- 自分の関心のある内容しか扱わない。
3-児童生徒の学力等を考えずに指導する。
- 児童生徒の反応を無視あい、難しい内容ばかりの授業をする。
- 一部の児童生徒を対象に授業を進める。
- 児童生徒によって課題の進捗状況が著しく異なるが、調整できない。
4-教材・資料等授業に必要な準備を行わない。
- 教科書を読み、板書するだけ。
- 言葉による指導のみで、板書もほとんどない。
- ビデオ等を見せるだけで事前・事後指導をしない。
- プリントによる自習学習をやらせっぱなしで、事後指導をしない。
5-その他
- 黒板に向って授業を進め、児童生徒の方に向いて授業ができない。
- 早口や小声で授業を進め、児童生徒から「もう一度言ってください」などと言われると、一転大声で叱責したり、高圧的になる。
- 試験をしても返そうとしない。
- 宿題は出すが事後指導をしない。
以上が「②指導方法が不適切であるため、学習指導を適切に行うことができない。」の項目でした。
上記の通り、残り2項目が載っているページのリンクを以下に貼っておきますのでご興味があれば飛んでみてください。
それでは、実際にどのくらいの数の教員が「指導力不足教員」と認定されているかみていきましょう!
指導力不足教員の実数とは?
続けて、指導力不足教員が認定されている数を見ていきましょう。
ここでは、東京都で平成29年度〜令和3年度の間に認定された指導力不足教員の実数を見ていきましょう。
それでは以下の画像をご覧ください。
多いか少ないかは人それぞれの考え方だと思いますが、指導力不足教員がいるということは裏を返せば教員採用試験の採用担当者に落ち度があり、採用基準が不明確であったと言っても過言では無いと思います。
たった数人だとしても、他の受験者が合格できたかもしれません。さらに、指導力不足教員がいたということは、生徒が被害者となり、他教員の仕事が増加したことも容易に考えられます。
それでは実際の現場ではどういう状況なのかを見ていきましょう!
現場ではグレーゾーンの教員が多い?
それでは、実際の学校現場には本当に指導力不足教員が実数程度しかいないのかを見ていきましょう。
私個人の意見ですが、グレーゾーンの教員は多いと思います。
みなさんどうでしょうか。上記の観点項目に当てはまる教員はいないでしょうか。
私は以下のような教員が散見されると思います。
・「教科書を読み板書だけをする」
・「児童生徒の反応を見ない一方的な授業で、やりとりがない。」
・「黒板に向かって授業を進め、児童生徒の方に向いて授業ができない。」 など
もちろん、観点項目に1つだけ引っかかるだけでは認定されないと思いますが、「え?」と思う授業は少なからずあります。
もちろん、私も上記の観点項目を見てハッとさせられたものも多々あり、他人のことをどうこう言える立場ではありません。
ハッとすることで自分で気づき、改善しようと思うのが大事だと思います。
職員室に貼ってもいいと思うんですけどねー!
最後に
ここまでご覧いただきありがとうございます。
今日は「【中学校・高校】指導力不足教員(研修措置教員)とは? 〜定義や認定方法〜」をお伝えしました。
自戒の念も込めて今回この記事を書きました。ご参考になればとても嬉しいです。
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