【中学校・高校】特別支援(配慮)が必要な生徒の対応方法 〜通常学級在籍生徒〜

学級経営

こんにちは、草食系高校教師です。

今日は「【中学校・高校】特別支援(配慮)が必要な生徒の対応方法 〜通常学級在籍生徒〜」をお伝えします。

みなさんの中学校や高校にも特別配慮(支援)が必要な通常学級に在籍している生徒がいると思います。

学級担任・学年・学校として、その生徒をサポートし、学校生活に支障がないようにする必要があります。

また、何よりもその生徒を様々な状況や場面から守らなければいけません。

サポートの方法はその生徒それぞれが持つ状況により大きく異なります。

今日は私が担当したことがある特別配慮が必要な生徒の支援方法をお伝えします。あくまでも生徒それぞれの状況によって支援方法が異なることをご理解ください。

これから紹介する事例は特別配慮が必要であっても現役で高校を卒業し、卒業後の進路(専門学校や就職)も確定した生徒になります。

草食系教師
草食系教師

みなさんのクラスに特別配慮が必要な生徒がいる場合、参考にしてください!

担当した生徒例

 私は教育困難校に勤めていたことがあるため、特別配慮が必要な生徒が多く在籍していました。

 それではまず一覧をご覧ください。


  • LD(学習障害)
  • ADHD
  • 自閉症
  • アスペルガー
  • 肢体不自由
  • 起立性調節障害
  • 一型糖尿病
  • オーバードーズ
  • リストカット

 そのほかにも、グレーゾーンの生徒が多数在籍していました。

特別支援委員会設置のススメ

 どの学校にも特別配慮が必要な生徒が複数人いると思います。その生徒情報の共有や支援方法を考える校内の特別支援委員会を設置することを強くオススメします。

 学年共有がスムーズにいったり、保護者を安心させたりという効果があるのでぜひ設置しましょう。

①編成メンバー

 私が勤めていた学校は、各学年2名+特別支援に明るい教員(経験者や免許保持者など)+養護教諭+教頭という編成でした。

 半年に一度程度、地域の特別支援コーディネーターに来校してもらいアドバイス及び支援方法を確認しました。

②共有内容

 月に1度程度集合し、特別配慮が必要な生徒の情報を共有し、支援方法を考えました。具体的な内容は、生徒状況、支援内容、家庭の状況です。

例)

◯自閉症の生徒
 周りの生徒の助けもあり落ち着いて学校生活を送ることができているが、行事やいつもと変わった時程になると塞ぎ込んでしまうことがある。支援方法は、週に一度の定期面談で次の週の時間割や学校行事の内容を説明し、安心感を与えるようにしている。保護者は非常に協力的で週1回の面談後に今週の状況を伝えるようにしている。

 情報共有終了後、各学年の特別支援委員メンバーが他の学年教員に情報を共有していました。また、授業に影響を及ぼすことが考えられる生徒がいる場合は、非常勤講師の先生であっても養護教諭や学級担任を通して情報を共有していました。*養護教諭が特別支援委員会の議事録作成

実際に行った支援方法

 次に、実際に行っていた学級担任の支援方法をお伝えします。

 その中でも、昨今の生徒に多い発達障害・起立性調節障害、そして特殊なケースである1型糖尿病・リストカットとオーバードーズについてお伝えします。

発達障害

 発達障害と一括りにしましたが、以下の3つに該当する生徒のことです。

  • ①自閉症スペクトラム障害(ASD)
  • ②学習障害(LD)
  • ③注意欠陥多動性障害(ADHD)

 それではそれぞれ見ていきましょう。

①自閉症スペクトラム障害(ASD)

 自閉症スペクトラムの主な特徴は、言葉の遅れ・人間関係構築が苦手・こだわりが強い・変化に弱い等があります。

 実際に私が担当した生徒は、人間関係の構築が苦手で、とてもこだわりが強く、変化に弱い(新しいことが苦手)生徒でした。

 高校に入学してすぐの頃は、環境の変化に慣れず体調を崩したり、一人で塞ぎ込むことがありましたが慣れるにつれて特に問題はありませんでした。学級担任が1から10までその生徒のことを見てあげられないので、学級にいる信頼できる生徒にサポートをお願いする形をとっていました。

 また、放課後週に1度面談する機会(最初の1年間)を作り、自分が思っていることを吐き出す時間にしました。言葉は稚拙なところがありますが時間をかけて吐き出させるようにすると良いと思います。

②学習障害(LD)

 学習障害の主な特徴は、読み書きが苦手・算数が苦手・等があります。

 実際に私が担当した生徒は、IQ60台と認定された生徒です。

 支援方法は、授業内の提出物をしっかり出させることです。授業に全くついていくことができなかったため、考査の点数は毎回1桁です。そのため、通常であれば成績が5段階評価で1となります。それを回避するために、考査以外のところで点数を確保できるように支援しました。

 しかし、学級担任は各科目の授業内容を把握することができないので、年度初めに科目担当者に根回しをして、提出物が発生するタイミングを教えてもらうようにしていました。

③注意欠陥多動性障害(ADHD)

 ADHDの特徴は年齢に相応しくない不注意や多動性です。

 私が担当した生徒はその両方を持つ生徒で、特に前者の特性が強く「忘れっぽい」「ぼーっとしている」が顕著に出ていました。

 授業の支援は学級担任には難しいので、学級・進路の提出物や保護者への伝達事項を忘れないための支援が必要でした。全体ホームルームの後、個別に内容の確認をし、忘れないようにメモを取るように促していました。

 1年生のうちは毎回大変ですが、学年が上がるにつれて一人でメモを取れるようになりました。

草食系教師
草食系教師

あれもこれもやってあげるのではなく、卒業後のことを考えて自分でできることは自分でさせるようにしていました!

起立性調節障害

 起立性調節障害の特徴は、朝起きることができない・吐き気・めまい・頭痛などがあります。

 特に「朝起きることができない」ことが多く、この特徴は高校であれば進級や卒業に大きく関わります。そのため、学級担任の支援方法としては授業時数の管理(生徒の参加授業時数が規定以下にならないように)が第一優先になります。そしてこの作業がとても大変です。

 ほとんど全ての教科(科目)のその年度の残り授業時数とそれまでの出席日数を計算する必要があります。簡単に言えば、あと何日休めるのかと何日出席しなければいけないのかを先の予定を確認(臨時休校や急な行事を見越して)します。

1型糖尿病

 一型糖尿病は、膵臓のβ細胞が壊れてしまい、インスリンを分泌できない、または分泌量がきわめて少ないために生じるタイプの糖尿病です。そのため、1日に数回インスリンを打たなければいけません。

 もちろん在校時間にも打つ必要があったため、生徒はインシュリンを携帯していました。また、念の為保健室にも常備していました。

 学級担任の支援方法は、学級・学年生徒への伝達、生徒の状況確認、授業担当者への根回し、保護者との密な連携です。

 特に、学級や学年生徒へ周知する時は言葉の選択に注意しなければいけません。一歩間違えばいじめを誘発してしまうため、慎重にする必要がありました。

 「こういう状況だから」ではなく、「クラス全員のサポートが必要」と協力を依頼すると動いてくれる生徒が増えるような気がします。もちろん保護者と生徒本人に、他の生徒に伝えるかや伝え方などを相談の上です。

リストカット

 リストカット癖がある生徒です。

 リストカットをしている生徒は、残念ながら少なくはありません。こちらが認知できないのであればそれは放っておくしかできません。しかし、中にはそれを見せたがる生徒学校でしてしまう生徒もいるのです。

 学級担任の支援方法は、前者の場合定期的な面談をし、経過観察をしていました。9割9分が人間関係に関しての不安や不満なので、指導する面談ではなく話を聞くだけの面談でした。(頭ごなしに指導したら絶対だめ!)

 また、後者の「学校でしてしまう場合」は教室でするのではなくトイレでする場合が多いので、発見した後は速やかに止血し保健室へ運びます。落ち着いたら事情を聞き、保護者来校の元下校させる手段をとっていました。

 これも同様に定期面談を行い経過観察をするしかできませんでした。「親(保護者)に連絡をしないでください」と言う生徒がいますが、言わないわけにもいかない(学校が隠していたとなると後々面倒臭い)ので、しっかりと経緯を説明した上で保護者に連絡をしていました。

もちろん全授業者に根回しし、授業中にトイレに行く場合は付き添いの教員を配置するようにしていました。

オーバードーズ

 オーバードーズは、適正量を超えた医薬品を過剰摂取することです。

 これは学級担任として1人だけでしたが、学校や人生に対する不安から病院で処方された抗不安薬をほとんど毎日過剰服用していた生徒です。朝に基準の数よりも多く服用する日が多々あり、薬が効いてくる時間帯になると意識朦朧としたり、幻覚を見たりすることがありました。

 SHR中や1時間目の授業中に発生することが多く、起こった後すぐにタンカで運び保健室に隔離していました。そして、保護者来校まで待つことしかできませんでした。生徒の行動(薬を飲みすぎること)を学校では抑止することが難しい(家庭での行動のため)案件です。

 学級担任としては、朝の体調確認、定期的な面談、授業担当者への根回し、保護者との密な連絡をしていました。特に、前述したように朝に発生することが多いので朝の体調確認は重要でした。起こりそうであれば1時間目の先生に事前に伝えるようにしていました。

オススメ書籍

最後に

 今日は「【中学校・高校】特別支援(配慮)が必要な生徒の対応方法 〜通常学級在籍生徒〜」をお伝えしました。

 統計を見ていないので確実ではありませんが、特別配慮が必要な生徒は年々増えているように感じます。学校側としてはそのような生徒に安心した学校生活を行うよう最大限努力していると思います。

 時代が変われば教育内容が変わり、生徒状況も変わることでしょう。多様化・複雑化した仕事を分散できるような体制が今後早急に整えばと思います。

 本日は以上です。読んでいただきありがとうございました。もしよろしければ下のランキングをポチッと押していただけると嬉しいです。

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