みなさんこんにちは。草食系高校教師です。
今日は「【高校】教科書を使った、英語×探求の授業アイディア 〜問題解決能力を育成したい〜」をお伝えします。
高校の教育課程では、2022年度から「総合的な学習の時間」が「総合的な探求の時間」へと完全移行されます。
さらに、「古典探究」「地理探究」「日本史探究」「世界史探究」「理数探究基礎」「理数探究」など、「探究」という名のついた科目が7つも新設されます。
今回紹介する「英語×探求」は新科目としては設定されていませんが、国が高校に探求学習を推進している側面やSDGsの絡みもあり、国語科、社会科や理数科だけでなく、他教科でも探求学習を取り入れる流れになっているのが現状です。
それでは英語×探求の授業アイディアを見ていきましょう。
「総合的な探求の時間」の目標
まずは、総合的な探求の時間の目標を見ていきましょう。
高校の学習指導要領によると、総合的な探求の時間の第1目標は以下になります。
第1目標
探究の見方・考え方を働かせ,横断的・総合的な学習を行うことを通して,自己の在り方生き方を考えながら,よりよく課題を発見し解決していくための資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
1:探究の過程において,課題の発見と解決に必要な知識及び技能を身に付け,課題に関わる概念を形成し,探究の意義や価値を理解するようにする。
2:実社会や実生活と自己との関わりから問いを見いだし,自分で課題を立て,情報を集め、整理・分析して,まとめ・表現することができるようにする。
3:探究に主体的・協働的に取り組むとともに,互いのよさを生かしながら,新たな価値を創造し,よりよい社会を実現しようとする態度を養う。
これらの目標×各教科の授業プランが必要になります。
”探求”を推奨する背景
なぜ探求学習が推奨されるのでしょうか。
現代は「VUCA時代」と呼ばれています。
・V=Volatility(変動性)
・U=Uncertainty(不確実性)
・C=Complexity(複雑性)
・A=Ambiguity(曖昧性)
リーマンショックやコロナウイルス等、先行きが不透明な社会情勢や予測困難な事態が起こる、現代を象徴するような言葉です。
このような社会では、従来の与えられる教育だけではなく、「自ら課題を発見し、情報を集め分析して、解決策を見出し、アウトプットする」このような能力が必要になるということではないでしょうか。
つまり、1995年から言われている激しい時代の変化を「生きる力」を育てることにつながるのです。
それでは目標と背景を知ったところで英語と探求を組み合わせたアイディアを見ていきましょう!
英語×探求の授業アイディア
それでは、実際に私が3年ほど断続的に行っていた授業をお伝えします。
教科書のテーマを使う
各教科書には「本文のテーマ」と「重点文法項目」が書かれていると思います。そこで重要なのが前者の「本文のテーマ」です。
しかし、授業をすると、カリキュラムをこなすことや英語を教えるだけで精一杯になりがちです。そのため、本文のテーマを掘り下げることをどうしても蔑ろにしてしまいます。
受験あるし時間なんてないよー!
しかし、本文を深く知ることで狭い日本のことだけでなく、世界のことを知れるチャンスです。国際理解や異文化理解につなげることができ、興味を持つことにつながるかもしれません。
その”興味”の力はとても大きく、以前フィリピンがテーマの本文を読んで興味を持ち、夏休みを利用して短期研修に行った生徒がいました。そして、「貧困で苦しむ人を救いたい」と夢を持ち、英語を勉強する原動力にしていました。
きっかけは自分で掴みに行くことも大事ですが、与えられた何かから感じることもあるのです!
さて、「本文のテーマ」にはこのようなものがあります。
- 伝統文化
- 国際協力
- 平和
- 社会貢献 など
このような教科書が生徒に伝えたいテーマを利用して、本文とリンクした探求を考えていきます。
探求のテーマを設定する
探求は本来「自ら課題を見つける」ことが推奨されていますが、課題を見つけるだけで1時間使ってしまう生徒もいるので、授業者が設定してあげることも必要です。
もちろん、教科書本文がわかりやすく問題提起しているのであればそれを使いましょう!
それでは上記のテーマ例を使って、ざっくりと探求のテーマを考えていきましょう!
- 伝統文化
→世界の伝統文化を1つ調べよう。
→自分が考える後世に伝えたい日本の伝統文化。 - 国際協力
→一人一人ができる国際協力は何か。
→日本が世界に協力していることは何か。 - 平和
→世界平和とは何か。
→一人一人が今できることは何か。 - 社会貢献
→個人でもできる社会貢献にはどのようなものがあるか。
→周辺地域に貢献できることは何か。
本来は教科書の内容とリンクしてテーマを決めますが、これはあくまでも一例です。
授業例を考える(全3時間)
教科書本文や重点文法項目の学習時間を除いたら、最大で3時間程度しか取れないと思います。
時間 | 授業内容 |
1 | テーマ設定・調べ学習・発表スライド作成 |
2 | 調べ学習・発表スライド作成 |
3 | 発表スライド作成(発表) |
発表方法を考える
発表方法は、全体発表が1番良いと思います。文部科学省が求める「資質・能力の3つの柱」のうちの1つ「思考力・判断力・表現力」を養うきっかけになるからです。
しかし、生徒の人数によっては発表に1時間以上費やしてしまうので、今こそ1人1台持っている端末を使いましょう!
「自宅で発表動画を撮影して提出」が時間をかけない理想の形です。また、生徒の中には発表が嫌で欠課や欠席をする生徒もいるのでそういった生徒には良いのかもしれません。
オススメ書籍
最後に
今日は「【高校】教科書を使った、英語×探求の授業アイディア 〜問題解決能力を育成したい〜」をお伝えしました。
探求学習は、VUCA時代を切り拓く能力になるかもしれません。良い大学に行けば、良い会社に入れば良い人生を送れるというのは古い考えになるでしょう。
本日は以上です。お読みいただきありがとうございました。もしよろしければ下のランキングをポチッと押していただけるとありがたいです。
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