みなさんこんにちは、草食系高校教師です。
今日は「【中学校・高校】ディクトグロスを取り入れた授業実践例 〜英語授業(中学1年生)〜」をお伝えします。
以前、ディクトグロスを使った授業についてお伝えしました。
実際に中学校1年生でディクトグロスを用いた授業を行ったので、今日は授業実践例をお伝えします。
中学校1年生で行った理由は、現在の中学校1年生は小学校で教科化となった外国語のカリキュラムで2年間学習し、リスニングとスピーキングの能力が以前に比べて非常に高いことから、音声を元に本文理解へと繋げられると思ったからです。
「非常に高い」と感じた理由は、授業開きから1ヶ月間は小学校と中学校の架け橋期間でしたのでその期間に取り組んだリスニング問題の正答率が非常に高かったからです。
それでは実践例を見ていきましょう。
それでは詳しく見ていきましょう!
「ディクトグロス」とは?
「ディクトグロス=(dicto-gloss)」は一言で言えば、「ディクテーションの強化バージョン」です。
ディクトグロスの定義
ディクトグロスを提唱したWajnrybによると、練習方法は以下のように定義されます。
1 獲得すべき文法を含んだ短い文章がノーマルスピードで2回読まれる
2 読まれている間、学習者は知っている単語や語句を中心にメモを取る
3 小グループを作り、各々の断片的なメモや記憶をもとに元の文を復元する
4 原文との同一性は求められないが、文法的な正確さや話の論理性が重視される
5 復元された文を分析、比較する
4STEPで捉える
簡単に書くと、4つのSTEPです。
- STEP1音声を聞く
- STEP2メモを取る
- STEP3内容について話し合う
- STEP4内容を復元する
スモールステップで授業に取り入れる
定義に沿って授業をすることは超進学校以外無理でしょう。
したがって、スモールステップで取り入れていけばいいのです。
それでは上記の「ディクトグロス簡単4STEP」に沿って話を進めていきましょう!
①音声を聞く
上記の定義では「獲得すべき文法を含んだ短い文章がノーマルスピードで2回読まれる」とあります。しかし2回では到底できそうもありませんので、「生徒が納得するまで」や「10回」と決めた方が良いでしょう。
また、それでも無理な生徒もいるので、その場合は以下のように穴埋め(単語・フレーズ・1文)にすると良いと思います。
これは初歩の初歩の方法です。
例A)単語穴埋め
”The winter (s ) in COVID-19 cases is a reminder that the pandemic is not over yet, and we must take extra care to (k ) ourselves and each other safe,”
例B)フレーズ穴埋め
”The winter surge in COVID-19 cases is a reminder that the pandemic is not over yet, and we must (3語 ) keep ourselves and each other safe,”
例C)1文穴埋め
”The winter surge in COVID-19 cases is a reminder that the pandemic is not over yet, and
( )
②メモを取る
②メモをとるも、「①音声を聞く」同様に、穴埋めからスタートしましょう。
しかし、ここで大事なのが、「日本語訳を穴埋めしないこと」です。あくまでもメモを取り、内容を把握することに重きを置く活動ですので、一語一句合った日本語訳は必要ないのです。
例)He is good at speaking English.
→ He can speak English.
③内容について話し合う
まず、ここからの活動は、ペアかグループです。
メモを取った内容を元に、本文がどのような内容であったか、導入・展開・結論までを話し合っていきます。
可能であれば、ペアやグループで活動するときは学力差がない方が良いです。学力差がありすぎると教える側と教わる側に分かれてしまうので効果は低いと思います。
④内容を復元する
「③内容について話し合う」を元に、本文を復元していきます。
復元すると言っても、完璧な復元は必要ありません。
聞いて把握した内容を、自分たちが知っている英文法や語彙を駆使して内容を復元していきます。この活動は「リテリング」や「リプロダクト」に似た活動になります。
内容を復元した後は、本文との照らし合わせと音読です!
授業実践例
それでは授業実践例を見ていきましょう。
基本的には上記の「ディクトグロス簡単4STEP」を元に行いました。*本文の学習の前に文法の授業と新出単語の確認は済んでいます。
①音声を聞く
最初は本文の音声を聞きます。
CDを使って以下の3パターンで5〜10回聞かせました。
〜様々なパターン〜
①ノーマルスピード
②ロースピード
③フレーズごと
②メモを取る
次は①の音声を聞く時に行った「メモを取る」を見ていきましょう。
まず教員は本文をピリオドやフレーズごとに空欄にした、生徒がメモを取れるようなプリントを用意します。
それを使って生徒は本文の内容を日本語で記入していきます。(わからない生徒は想像でOK)
難しい場合は、日本語の穴埋め問題にしても良いと思います。
③内容について話し合う
それでは、②を使ってグループやペアで行う「内容について話し合う」を見ていきましょう。
生徒同士がプリントに記入した日本語訳を答え合わせ・話し合うための時間です。中2や中3で行うのであれば本文がある程度長いので時間がかかりますが中1の1学期の分量なのですぐに終わりました。
ペアやグループワーク終了後、日本語の内容をクラス全体で共有していきます。④で英語に復元していくので日本語はしっかりと確認しましょう。生徒は正解の日本語をプリントに記入していきます。
④内容を復元する
次に「④内容を復元する」を見ていきましょう。
クラス全体で日本語の内容を共有した後は、日本語を英語にします。英作文の学習になります。
できない生徒は必ずいるので、その生徒は教科書巻末資料の単語や熟語を見ることはOKにしています。また、綴りはほとんどの生徒が書けませんので特に気にせず書くように促しています。
⑤本文を確認する
④の英作文を教科書で確認します。
間違えた単語や文を確認し、再度全文を教科書を見て書き写します。現在の中学校1年生は圧倒的にライティングが足りません。(小学校の授業による)
本当に手遅れになる前に一定量英語を書く練習をしないと2年後とんでも無いことになります。。。したがって、あえてこの活動を入れました。
⑥本文を理解する
音声から日本語を理解し、英文を確認した後は本文の理解です。
ここでは、Q&A・T/F等の問題を解いていきます。ただ解答して確認するのではなく、必ず「根拠の場所を示す」ようにしましょう。どこを見てその解答を導き出したのかを確認しないと全く意味がありませんよね。
⑦音読する
最後に、本文の音読をしましょう。
重要なのはただ「音声化」にならないことです。何も考えずCDや教員の読んだことをリピートしているだけの生徒が非常に多いですので、頭の中でその場面を想像して読むことやリンキングを意識して読むこと等を伝えましょう。私はリンキングの場所を自分たちで考えさせるようにしています。
私は音読を以下の順番で行うことが多いです。*リテリング含む
①音声を確認→リンキングの場所に印をつける
②コーラスリーディング(CDか教員)
③ペアリーディング
④シャドーイング
⑤日本語→英語(リテリング)
⑥英語→日本語(リテリング)
本文理解の時に毎回全てを行うわけではありませんが、可能な限り多く読めるようにしています。
オススメ書籍
最後に
ここまでお読みいただきありがとうございます。
今日は「今日は「【中学校・高校】ディクトグロスを取り入れた授業実践例 〜英語授業(中学1年生)〜」をお伝えしました。
新出単語→訳読→本文理解→ディクテーション→音読が基本的な流れだと思いますが、音声から入るこのディクトグロスは小学校で英語を学習してきた生徒にはフィットする気がします。
本日は以上です。お読みいただきありがとうございました。もしよろしければ下のランキングをポチッと押していただけるとありがたいです。
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