みなさんこんにちは、草食系高校教師です。
今日は「【中学校・高校】リスニング能力を伸ばす「ディクトグロス」とは? 〜英語授業〜」をお伝えします。

先生、英語を聞き取ることができません!
英語を教えているみなさん、こんなことを言われたことはありませんか?
高校入試では試験の約3割(自治体による)、大学入学共通テストでは5割がリスニング試験です。
文法やリーディングのインプット重視の授業が日本の授業では散見されますが、時代遅れになりつつあります。いや、時代遅れです。
この記事では、リスニングを起点とした文法や語彙、内容把握の学習もできる「ディクトグロス(dicto-gloss)学習法」をお伝えします。

それでは詳しく見ていきましょう!
「ディクトグロス」とは?
「ディクトグロス=(dicto-gloss)」は一言で言えば、「ディクテーションの強化バージョン」です。
ディクトグロスの定義
ディクトグロスを提唱したWajnrybによると、練習方法は以下のように定義されます。
1 獲得すべき文法を含んだ短い文章がノーマルスピードで2回読まれる
2 読まれている間、学習者は知っている単語や語句を中心にメモを取る
3 小グループを作り、各々の断片的なメモや記憶をもとに元の文を復元する
4 原文との同一性は求められないが、文法的な正確さや話の論理性が重視される
5 復元された文を分析、比較する
4STEPで捉える
簡単に書くと、4つのSTEPです。
- STEP1音声を聞く
- STEP2メモを取る
- STEP3内容について話し合う
- STEP4内容を復元する
スモールステップで授業に取り入れる
定義に沿って授業をすることは超進学校以外無理でしょう。
したがって、スモールステップで取り入れていけばいいのです。
それでは上記の「ディクトグロス簡単4STEP」に沿って話を進めていきましょう!
①音声を聞く
上記の定義では「獲得すべき文法を含んだ短い文章がノーマルスピードで2回読まれる」とあります。しかし2回では到底できそうもありませんので、「生徒が納得するまで」や「10回」と決めた方が良いでしょう。
また、それでも無理な生徒もいるので、その場合は以下のように穴埋め(単語・フレーズ・1文)にすると良いと思います。

これは初歩の初歩の方法です。
例A)単語穴埋め
”The winter (s ) in COVID-19 cases is a reminder that the pandemic is not over yet, and we must take extra care to (k ) ourselves and each other safe,”
例B)フレーズ穴埋め
”The winter surge in COVID-19 cases is a reminder that the pandemic is not over yet, and we must (3語 ) keep ourselves and each other safe,”
例C)1文穴埋め
”The winter surge in COVID-19 cases is a reminder that the pandemic is not over yet, and
( )
②メモを取る
②メモをとるも、「①音声を聞く」同様に、穴埋めからスタートしましょう。
しかし、ここで大事なのが、「日本語訳を穴埋めしないこと」です。あくまでもメモを取り、内容を把握することに重きを置く活動ですので、一語一句合った日本語訳は必要ないのです。
例)He is good at speaking English.
→ He can speak English.
③内容について話し合う
まず、ここからの活動は、ペアかグループです。
メモを取った内容を元に、本文がどのような内容であったか、導入・展開・結論までを話し合っていきます。
可能であれば、ペアやグループで活動するときは学力差がない方が良いです。学力差がありすぎると教える側と教わる側に分かれてしまうので効果は低いと思います。
④内容を復元する
「③内容について話し合う」を元に、本文を復元していきます。
復元すると言っても、完璧な復元は必要ありません。
聞いて把握した内容を、自分たちが知っている英文法や語彙を駆使して内容を復元していきます。この活動は「リテリング」や「リプロダクト」に似た活動になります。

内容を復元した後は、本文との照らし合わせと音読です!
リスニング向上のコツ
リスニングスキルの向上には「音読」は必要不可欠です。
授業中に音読をすると、「音声化」しているだけの生徒をよく見ます。
しかし、音読で最も大切なのは「頭の中で意味を考えながら読むこと」です。
それを踏まえてこの「ディクトグロス学習法」はいかがでしょうか。音声を聞いて、内容に関してのメモを取る。そして、それを復元する。
この活動は、リスニング能力向上にもってこいの活動ということです。また、汎用性もあり、新出単熟語を導入せずに、ディクトグロスから授業を始めても、未知語習得のきっかけになります。前後関係から未知語を想像し、意味を推測するのは英語長文読解に欠かせないスキルです。

全部の単語を知っている人はいませんからね!
オススメ書籍
最後に
ここまでお読みいただきありがとうございます。
今日は「【中学校・高校】リスニング能力を伸ばす「ディクトグロス」とは? 〜英語授業〜」をお伝えしました。
ディクトグロスは生徒主体型の授業になります。もちろん、事前事後指導は大切になりますが、聞いた音声の内容を復元するこの活動はとても有効です。ぜひトライしてみてください。
本日は以上です。お読みいただきありがとうございました。もしよろしければ下のランキングをポチッと押していただけるとありがたいです。
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