こんにちは、草食系高校教師です。
今日は「【中学校・高校】経営難(借金2億)の私立学校がV字回復を遂げた奇跡的な話」をお伝えします。
私は教員を10年経験しました。
これまで私立学校3校を経験し、その中の1つの学校がとても経営が厳しい状況でした。多額の借金があり、生徒募集もかなり苦労していました。このままでは経営できて5年ということが全体に伝えられ、その年から改革が始まりました。
今日は、その改革1年目に私が入職し、3年計画で立て直そうとする学校のリアルな取り組みをお伝えします。
3年間、学校を立て直すために奮闘したお話です。かなーり大変でしたが、楽しかったです!
学校情報
・普通科
・定員150名
・男女共学
・偏差値45程度
生徒状況
生徒状況は本当に様々でした。こんなにもバラバラな学校はとても珍しいと思いますが、以下のような生徒はレベル別やコース別はなく同じ教室で勉強をしていました。
偏差値70の生徒
学年に2〜3人は中学校の成績がオール5のとても優秀な生徒がいました。校内では生徒会、校外では全国で数人しか選ばれない海外研修に行くなど、学校内外で活躍するスーパースターでした。最終的には旧帝国大学や難関私立大学に合格しました。
他の生徒と比べると授業の理解度や勉強の進捗状況が違うので、授業担当者は授業内で別プリントを用意したり、放課後講習をしたりしていました。
障がいのある生徒
ADHD(注意欠陥多動性障害)・高機能自閉症及びアスペルガー症候群・LD(学習障害)の生徒が各クラス5人程度いました。さらに、診断されていないグレーゾーンの生徒が数人在籍していました。最終的に、全員就職しました。
いじめに発展しそうな生徒ですが、本当に様々な生徒がいましたのでそういったことはありませんでした。生徒は「他者理解」を学んでいたと思います。
やんちゃな生徒
各学年数名、やんちゃな生徒がいました。髪を染めて、ピアスを開け、床で寝ている生徒です。田舎なのがばれますね。笑 最終的に全員卒業し、専門学校進学や就職をしました。
私の所感ですが、怒ってはいけないと思いました。「しっかりと話を聞いてあげる」ことが大切だと思います。
中途半端な生徒
どこの学校にも勉強も部活も中途半端な生徒はいます。頑張っても成績が伸びない、部活も良い成績を残せない、いわゆる「くすぶっている生徒」です。最終的に大学・短大・専門学校に進学しました。
学校改革
通常、学校改革といえば、部活強化、進学率向上、新コース設立や新カリキュラム導入がありますが、そのようなことはせずに、改革を行いました。では、どのように改革をしたか以下の4点をご覧ください。
①アットホーム改革
「学校をアットホームにしよう」という校長の一言から始まりました。「教師」と「生徒」の間にはある程度の壁は必要だと思いますが、それを無くして家族のように生徒と教員の距離をもっと近くするということです。
以下のリストがアットホーム改革で許されたことですが、「これしちゃダメだよー」「この学校大丈夫?」とお思いになる方もたくさんいると思います。これまでの「教員」と「生徒」の概念が覆されますのでご注意ください。
こ日本にはまだまだこんな学校があるんですよ!
②在校生の満足度改革
在校生の満足度を高める改革です。生徒募集の1番効果的な方法は、説明会でもインターネットでもなく口コミです。
食べログの口コミを読んでお店を選ぶことはありませんか? それのリアル口コミバージョンです。
小学生や中学生が学校を決める理由は、先輩や地域の方のお話が圧倒的に多いです。つまり、評判です。
在校生の満足度を高めることで、それがねずみ講のように伝わっていく感じです。
まず、生徒の満足度を高めるためには、生徒が「楽しい」と思える学校づくりです。 そのために、生徒の「自己承認欲求」を満たすこと、「自己肯定感」を高めることを意識し、学校行事や校内外活動(年間約50)を増やしました。
そして、上記の「中途半端な生徒」を中心に声かけをして参加をしつこく促しました。活動に参加する生徒には活動前と活動後には声かけをします。
活動前
次のボランティア参加するのか!ナイス!頑張れよー!
頑張ります!
活動後
ボランティアどうだった?◯◯先生、頑張ってたって言ってたぞー」
楽しかったです!
みなさんどうでしょうか?声をかけられた生徒の立場になると嬉しくないですか?声をかけられることで自己承認欲求を満たし、自己肯定感を高められます。さらに、ボランティアをすることによってもそれらを満たされ、高められるでしょう。
結果的に、中途半端な生徒がもっともっと活動に参加し、普段の学校生活も積極的に参加するようになり、優秀な生徒になっていくという例が結構ありました。そういった生徒や保護者が周りに学校のことをよく言ってくれて口コミで広がっていくことになりました。
③教員のボトムアップ改革
生徒への改革を2つ紹介しましたが、教員へも改革がありました。それまで管理職からのボトムダウンの仕事でしたが、若者のアイディアを採用するボトムアップの仕事ができるようになりました。
これにより教員のやりがいが増え、生徒だけではなく教員の自己承認欲求を満たし、自己肯定感を高められることになりました。自分のアイディアが採用されることで「自分もチームの一員」であることを認識し、やる気につながりました。
「生徒のためであればなんでもやっていいよ」という校長のスタイルでしたので、上記のカレーパーティーと英語プレゼンテーション大会参加は私が提案したものです。
国際理解教育を意図として、周辺のネパール人が経営しているカレー屋に来校してもらい、一緒にカレーを作り食べました。また、英語プレゼンテーション大会は少しでも学校の知名度を上げるためという裏の意図の元、生徒の英語力向上の狙いもありました。
メリットだけでなくデメリットももちろんあり、教員の負担はかなり増えてほとんどの先生が毎日21時〜22時退勤でした。
④若手の主任・管理職登用
小学校では教員の平均年齢が低いこともあり、主任以上になる可能性が高いでしょう。
しかし、高校では年功序列が基本的です。若手が主任以上になることはほとんどありません。
この学校では抜本的な改革を狙っていたため、20代〜30代でもやる気があれば登用してもらえることになり、進路指導部長と学年主任を経験させてもらいました。
改革3年後には
改革前は定員150人に対して生徒数が70名でしたが、改革後には定員充足率95%以上の145人になり、V字回復を遂げました。
学校経営も安定し、多額の借金は向こう10年で返済できるくらいになりました。あと…教員の給料も大幅に改善されました。笑
オススメ書籍
最後に
今日は「【中学校・高校】経営難(借金2億)の私立学校がV字回復を遂げた奇跡的な話」をお伝えしました。
犠牲になったことはとても多いですが、組織として何かを成功するって学校現場ではあまり経験できないことだと思っています。
これからますます子供の数は減り、経営的に、または財政的に危ない私立学校が出てくるのではないでしょうか。部活強化、進学率向上、新コース設立や新カリキュラム導入などをせずに、経営が回復した学校は珍しいのではないでしょうか。
ぜひ参考にしていただければと思います。本日は以上です。ありがとうございました。
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