こんにちは、草食系高校教師です。
今日は「【中学校・高校】教えない英語授業の実践例 〜ラーニングピラミッドを基に〜」をお伝えします。
昨今、アクティブラーニングや探究学習など、生徒が能動的に活動をする授業スタイルが主流となりつつあります。対して従来のチョーク&トークの授業は廃れ始め、「まだチョーク&トークの授業やってんの」と同僚に揶揄される場面を見ることがあります。
日本はちょうど新しい授業スタイルへの移行期ではないでしょうか。
「チョーク&トークの授業をする教員は全員クビにする。」ある海外の10年ほど前の記事に書かれてありました。
10年前に私は海外留学を経験しましたが、チョーク&トークの先生は1人もいませんでした。教える授業よりも教えない授業、つまり自分で考えさせることが多かったと思います。
今日は私が実践している「教えない授業」をお伝えします。
教えない授業をする理由
社会に出ると「答えのない問題」と向き合う機会がほとんどでしょう。
「自ら考えて行動できるような生徒になって欲しい」「問題解決能力を伸ばしたい」という意図はありますが、以下のLearning pyramidを参考に授業展開をしています。
これは学習者が何をすればより記憶に残るかというグラフになります。
授業では「Teaching others=他の人に教える」「Practice By Doing=何かをして練習する」「Discussion Group=話し合う」この3つを意識して授業プランを練っています。
チョーク&トークをする理由
以前は私も「チョーク&トーク」をしていましたし、これが最良のスタイルだと思っていた時期もありました。
私もなかなか現場を打破することができずにいた理由がいくつかありました。現在も従来の授業をする先生と授業について話をした中で感じた、移行を渋る理由を2つお伝えします。
心配であること
「教えないこと」や「活動を増やすこと」が本当に生徒の力になっているのかがわからず、ただただ心配であるためです。
今までチョーク&トークや教え込みの授業で、ある程度の受験結果を出してきたため、結果を知っている方法をとってしまいます。教員が教え込み授業で学習してきたためそれが最良の方法だと思ってしまっているのです。
教育は、今日教えたら明日結果がわかる物ではないので、長い目で見なければいけません。心配が勝ってしまいその期間を我慢できずにいるのです。
責任回避
「あの時教えたでしょ」という言えるようにするためです。
定期試験、模試、高校受験や大学受験などの担当科目の点数が悪かった場合、「教えたのに生徒が話を聞いてなかった」で片付けることができるようにするためです。
教えていれば、「聞いていなかった私が悪い」で生徒は納得しますが、教えていないと保護者や生徒本人からクレームが来る場合があるのです。
リスク
現在の生徒や保護者は「チョーク&トーク」や「教えられる授業」に慣れていますし、それしか知らない人もいるでしょう。したがって「○○先生の授業、何も教えてくれない」とクレームが入ることがあります。
保護者面談で「○○先生の授業、何も教えてくれないようなんですけど、伝えてくれますか?」と言われたことがあります。その先生の狙いがわかっていたので全てお伝えしましたがやはり教わるのが当たり前だと思っている生徒や保護者は多いのです。。
授業実践例
高校2年生対象の英語表現IIの実践例をお伝えします。
使用教材
「Next Stage」「スクランブル」「Vintage」などの、文法の問題集です。どの問題集でも構いません。以下のような問題が書かれてあるものになります。
例) ( ) along he street, I met an old friend of mine.
①Walk ②Walking ③Walked ④Walker
文法事項
単元に指定はありません。どこの単元であっても授業スタイルは同じです。
授業内容
まず、毎回単元ごと(動名詞・分詞・仮定法など)に1問1答式10問の小テストを実施します。小テスト終了後、回収します。その後、解答を口頭で伝え、改めて同じテストを配布します。1度回収するのは試験を書き換えないためです。
その後、生徒は問題集を見ずに解答・日本語の意味・その解答の明確な根拠を考えます。文法問題個人、ペアやグループで10分程度考えたあとは、生徒が全て説明します。
生徒が説明した後は、質問タイムです。私は突っ込んだ質問をしていました。生徒は当てられることを知っているので考える時間は必死になります。
大学入学共通テストから文法の問題集のような1問1答式の問題は無くなりましたが、結局のところ問題集に書かれてある文の集合体が英語長文です。
ただ、1問1答式の問題を解くのではなく日本語の意味を考えさせることが大事です。
効果
生徒の質問が増える
生徒は全体に説明するという恐怖の時間が待っているので、嫌でも問題と向き合わないといけません。それをすることによって今までボーッとしていた生徒も考えるようになるので、一人一人の取り組み方が変わります。
授業中に質問する生徒が出てきましたし、授業終了後に質問をする生徒が増えました。
少し義務感や危機感を与えすぎかもしれません。そして、少し生徒に嫌われるタイプの授業運営ですが、思考停止するよりは良いのです。
やる気UP
明らかにチョーク&トークの教え込みの授業よりは生き生きしていました。1時間ずっと話を聞いているよりは何かの活動をしていた方がやる気を出している気がします。
これは私の授業だからではなく、今の世代の生徒は小学校からアクティブラーニングや探究学習に取り組んできたためだと思います。
オススメ書籍
最後に
今日は「【中学校・高校】教えない英語授業の実践例 〜ラーニングピラミッドを基に〜」をお伝えしました。
ラーニングピラミッドを見たのは7〜8年前ですが、それからはこれを意識して授業をしてきました。
衝撃的なのは「Lesson 5%」であることです。一生懸命説明しても…と悲しくなったのを覚えています。
この授業プランはあくまでも一例です。「教えない授業」をすることもありますが、ゴリゴリのチョーク&トークの授業をすることもあります。
何事もバランスです。ぜひご活用ください。
本日は以上です。お読みいただきありがとうございました。もしよろしければ下のランキングをポチッと押していただけるとありがたいです。
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