【中学校・高校】英語科教員がたどり着いた授業中のアナログとデジタルの境界線」

英語授業

みなさんこんにちは。

草食系高校教師です。

今日は「【中学校・高校】英語科教員がたどり着いた授業中のアナログとデジタルの境界線」をお伝えします。

「GIGAスクール構想でとにかくタブレットを使わなきゃ」という強迫観念と、「やっぱり紙の方が定着するのでは?」という揺り戻しの間で悩んでいる先生は多いと思います。

 私も2019年から勤務校でiPadが導入され、学校の方針もあり「極端なデジタル化」をした経験があります。その過程でチョーク&トークや紙ベースでの授業を「古い慣習」と捉えていたこともあります。

 アナログしかなかった時代も極端なデジタル化をした期間も経験し、アナログとデジタルの棲み分けが明確になってきたので使い分けに悩んでいる先生の参考になればと思いこの記事を書いています。

 先に結論を言いますが「ハイブリッドが最強」です。

 それでは詳しく見ていきましょう。

ハイブリッドとは?

 「ハイブリッド」の語源は、ラテン語の「イブリダ(hibrida)」で、「異なる種類のものを掛け合わせたもの」という意味です。

 ハイブリッド車(ガソリン×電気)と同じで、「両方のいいとこ取りをして、より高いパフォーマンスを出すこと」を指します。

 コロナ禍により「ハイブリッド授業」と聞くと、対面授業とオンライン授業を組み合わせた授業形態のことだと思いますがこの記事ではアナログとデジタルの良いところを融合したと思ってください。

 遊戯王で言うところのブルーアイズ3体でできるブルーアイズ・アルティメットドラゴンだと思ってください。笑

アナログとデジタルの強み

 次に「アナログとデジタルの強み」を見ていきましょう。

アナログの強み3選

①思考の「痕跡」が可視化される

 アナログ最大の強みは、思考のプロセスがそのまま残ることだと思います。

  • 書き直した跡
  • 消しゴムの跡
  • 余白のメモ

 これらはすべて「考えた証拠」であり、思考の見える化は「つまずきの証拠」でもあります。証拠が可視化されることで、振り返りの質(定期考査や受験勉強)が変わると思います。

②認知負荷が低く、言語に集中できる

 紙とペンは最強です。

 タブレットやPCは便利ですが、同時に「余計な情報」も多いです。

  • 操作方法
  • 画面切り替え
  • 通知
  • レイアウトの選択

 ペンと紙は「書く」というシングルタスクですが、タブレットで記入は上記のように「ペンを消しゴムに変える」「色を変える」「画像を挿入する」といった、紙では発生しない「メニュー操作」、筆圧の調整やペン先コントロールなどのマルチタスクが発生するので授業の内容以外に意識が分散してしまいます。

 書くための思考に負荷をかけるのではなく、理解するための思考に集中して欲しいのでやはり紙とペンが有効ではないかと思っています。

③トラブルが学びを止めない

 教員の皆さん。

 こんなこと授業中にありませんか?

  • ネットが不安定
  • 端末の充電切れ
  • ログインできない
  • アプリが落ちる

 私はこれまでに100回以上は対応してきたと思います。

 アナログは、こうした要因で授業が止まりません。

 トラブルに対応する時間がなくなり、シンプルな授業設計をすることができます。

デジタルの強み3選

 続けてデジタルの強みを3つ見ていきましょう。

①圧倒的な「反復量」の確保

 言語学習は反復が必要不可欠です。

 デジタルはその反復に必要な「量」を担保してくれます。

  • 単語・熟語の即時反復
  • リスニング問題の繰り返し再生
  • 動画の繰り返し再生

 紙では準備や採点に時間も労力もかかる作業をデジタルを使うことで生徒一人ひとりが自分のペースで大量にこなすことができます。

 これはアナログでは代替しにくいデジタル最大の強みです。

②即時フィードバック

 教育は生物です。それもとても足が早いです。

 言い換えれば「鉄は熱いうちに打て」です。

 デジタルの強みは「リアルタイム」だと思います。

  • 正誤判定
  • ヒント提示
  • 自動採点

 アナログで小テストをする場合、どうしても「実施→回収→(後日)返却」になってしまいます。(生徒間で採点させる場合は別)

 しかし、デジタルの場合は解答後すぐに点数を確認することができます。つまり、間違った問題を正しい答えに知識を上書きする時間を短くすることができます。

 また、リアルタイムで教材配信・画面共有・課題提出・情報共有ができるのでライブ感を強めることができ、生徒の反応を見て説明の強度の調整や顔を上げるトリガーになるのではないでしょうか。

③個別最適化学習

 英語は技能教科なので個人の能力に大きな差があります。

 100m11秒の人もいれば18秒の人もいるのと同じです。

  • レベル別課題
  • 進度の調整
  • 自動履歴管理

 これらがデジタルでは可能になります。

 自分のレベルに合った課題を自分のペースで好きな時間にすることが可能になります。

 あ、やる気がある生徒に限ってですけどね。。

 「できる生徒を待たせず、苦手な生徒を取り残さない」環境を作れるのはデジタルの強みです。

 やる気があれば自学でスタディサプリを見て勉強したり、反復できる単語学習をすることができたりします。

アナログとデジタルの融合2選

 次に「アナログとデジタルの融合2選」を見ていきましょう。

 上記のそれぞれの「強み」を融合したものを授業で取り入れるようにしています。

①単語学習・小テスト

 1つ目は単語学習・小テストです。

 単語学習、つまり単語の暗記はアナログがベストだと思います。

 2024年に富山大学の准教授らの研究グループが発表した「記憶に残りやすく集中できる学習はデジタル機器よりも「紙」で―」では、「記憶」と「集中」の分野では、デジタル機器よりも「紙の方がよい」と答えた学生は、いずれも全体の7割を超えたとのこと。

 これは英国の医師会雑誌「BMJ Open」のオンライン版に掲載されたこともあり信憑性が高いものではないだろうか。

 勤務校では、即時フィードバックをしてくれる単語学習アプリを導入していますが、使い方として生徒に伝えているのは、「アプリは定着度を測るための物」としています。

 もちろん使い方は自由なのでアプリを介して単語暗記をしている生徒も散見されますが、小テストの結果は芳しくはない傾向にあると思います。

 暗記(アナログ)×定着・反復(デジタル)の融合が現代の勉強方法では生徒にとって良いのではないかと思います。

 私はタブレットがなかった時代でしたので今も単語帳と睨めっこ派ですが。。

②ノートテイク

 2つ目はノートテイクです。

 私は生徒に紙とペンを使ってノートテイクするように促しています。

 NotebookLMを代表として様々な革新的な情報整理ツールはあるものの、自分で聞いて理解したものをシングルタスクの紙とペンで書くという行為は、理解をブーストしてくれる作業の1つではないかと思います。

 また、「アナログの強み」でお伝えしたように、ノートは思考の痕跡を残すことができます。「あ、授業の時に間違ったな」と思い出すことも理解への足掛かりになるのではないでしょうかか。

 一方で、私はデジタルの視覚教材を多用します。

 理由は2つあります。

①板書をする時間を節約して生徒の活動量を増やすため。
②教材イメージを持たせるため。

 生徒の脳がアクティブになる時間を確保し、教材の内容をビジュアライズされたものを簡単に瞬時に出せるのもデジタルが持つ優位性でしょう。

 正直、デジタルの視覚教材をオンラインツールを使って生徒に送ったらそれでもいいのかもしれません。

 しかし、私は私立の教員なので進学実績を上げるためには底上げが大事です。そこを上げるためにはある程度の強制力が必要だと思うので視覚教材は渡さず、必要であれば記入させるようにしています。

 平成初期生まれの古い教員の考えかもしれませんね。

 ここではノートテイク(アナログ)×視覚教材(デジタル)の融合となります。

おすすめ書籍

最後に

 今日は「【中学校・高校】英語科教員がたどり着いた授業中のアナログとデジタルの境界線」をお伝えしました。

 アナログとデジタルにはそれぞれ強みがあります。

 デジタル活用一辺倒ではなく、アナログの良さを活かしつつハイブリッドな授業が英語には合っているのかもしれません。

 デジタル教育先進国であるフィンランドはデジタル活用を制限し、アナログ回帰する動きがあるので文科省が推進するGIGAスクール構想が本当に効果的なのかもわかりませんね。

 さて、今日は以上になります。

 ここまでお付き合いいただきありがとうございました。

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