みなさんこんにちは、草食系高校教師です。
今日は「【中学校・高校】音声理解から長文読解ができる「ディクトグロス」とは? 〜英語授業ネタ〜」をお伝えします。
先生、英語を聞き取ることができません!
英語を教えているみなさん、こんなことを言われたことはありませんか?
あります。ありますよね!?!?!?
ご存知のように、
高校入試では試験の約3割(自治体による)、大学入学共通テストでは5割がリスニング試験です。
つまり、文法や長文読解重視の英語授業だけでなく、リスニング(スピーキング)も大切だということです。
もちろん、現場のリアルは、英語の検定試験や高校・大学受験合格を目指した文法や長文読解の授業がほとんどです。いや、9割です。
今日はそれを踏まえて、リスニングを起点とした文法や語彙、内容把握の学習もできる「ディクトグロス(dicto-gloss)学習法」をお伝えします。
授業の引き出しにどうぞ!
引き出しはなんぼあってもいいですからねー!
「ディクトグロス」とは?
まずは「ディクトグロスとは?」を見ていきましょう。
「ディクトグロス=(dicto-gloss)」は一言で言えば、「ディクテーションの強化バージョン」です。
詳しく見ていきましょう!
①ディクトグロスの定義
まずは「①ディクトグロスの定義」を見ていきましょう。
ディクトグロスを提唱したオーストラリア人の言語学者であったRuth Wajnrybによると、練習方法は以下のように定義されます。
1 獲得すべき文法を含んだ短い文章がノーマルスピードで2回読まれる
2 読まれている間、学習者は知っている単語や語句を中心にメモを取る
3 小グループを作り、各々の断片的なメモや記憶をもとに元の文を復元する
4 原文との同一性は求められないが、文法的な正確さや話の論理性が重視される
5 復元された文を分析、比較する
この5つを基に、授業で使えるように4STEPで考えていきましょう。
②4STEPで捉える
それでは「4STEPで捉える」を見ていきましょう。
上記の5つのSTEPを簡単にすると4つのSTEPになります。
- STEP1音声を聞く
- STEP2メモを取る
- STEP3内容について話し合う
- STEP4内容を復元する
それでは具体的に授業に取り入れる方法を見ていきましょう!
スモールステップで授業に取り入れる
次に「スモールステップで授業に取り入れる」を見ていきましょう。
上記5つの定義に沿って授業をすることは…超進学校以外無理でしょう。。
したがって、それ以外の学校でもできるようにスモールステップで取り入れたらいいと思います。
それでは上記の「ディクトグロス簡単4STEP」に沿って話を進めていきましょう!
①音声を聞く
上記の定義では「獲得すべき文法を含んだ短い文章がノーマルスピードで2回読まれる」とあります。
しかし2回では到底できそうもありませんので、「生徒が納得するまで」や「10回」と決めた方が良いでしょう。
また、それでも無理な生徒もいるので、その場合は以下のように穴埋め(単語・フレーズ・1文)にすると良いと思います。
生徒実態に合わせてレベルを設定しましょう!
生徒に「できる!」と思わせる仕掛けが大事。
例A)単語穴埋め
”The winter (s ) in COVID-19 cases is a reminder that the pandemic is not over yet, and we must take extra care to (k ) ourselves and each other safe,”
例B)フレーズ穴埋め
”The winter surge in COVID-19 cases is a reminder that the pandemic is not over yet, and we must (3語) keep ourselves and each other safe,”
例C)1文穴埋め
”The winter surge in COVID-19 cases is a reminder that the pandemic is not over yet, and
( ).
②メモを取る
②メモをとるも「①音声を聞く」同様に、穴埋めからスタートしましょう。
しかし、ここで大事なのが、「日本語訳を穴埋めしないこと」です。あくまでもメモを取り、内容を把握することに重きを置く活動ですので、一語一句合った日本語訳は必要ないのです。
例)He is good at speaking English.
→ He can speak English.
③内容について話し合う
ここからの活動は、ペアかグループです。
メモを取った内容を元に、本文がどのような内容であったか、導入・展開・結論までを話し合っていきます。
可能であれば、ペアやグループで活動するときは学力差がない方が良いと思います。(ほぼ不可能)学力差がありすぎると教える側と教わる側に分かれてしまうので効果は低いと思います。。
④内容を復元する
「③内容について話し合う」を元に、本文を復元していきます。
復元すると言っても、完璧な復元は必要ありません。
聞いて把握した内容を、自分たちが知っている英文法や語彙を駆使して内容を復元していきます。この活動は「リテリング」や「リプロダクト」に似た活動になります。
内容を復元した後は、本文との照らし合わせと音読です!
リスニング向上のコツ
ディクトグロスで内容を復元した後は、リスニングをします。(もちろん意味や内容を確認した後に)
リスニングスキルの向上には「音読」は必要不可欠です。
授業中に音読をすると、「音声化」しているだけの生徒をよく見ます。
しかし、音読で最も大切なのは「頭の中で意味を考えながら読むこと」です。読んでいるときに、同時にその本文の内容を頭の中に映像で流せるかが大切です。
この訓練を積み重ねていけば、英語を聞いた時にその内容を頭のなかに映像で流すことができるようになるでしょう。
それを踏まえてこの「ディクトグロス学習法」はいかがでしょうか。音声を聞いて、内容に関してのメモを取る。そして、それを復元する。
この活動は、リスニング能力向上にもってこいの活動です。また、汎用性もあり、新出単熟語を導入せずに、ディクトグロスから授業を始めても、未知語習得のきっかけになります。
前後関係から未知語を想像し、意味を推測するのは英語長文読解に欠かせないスキルです。
全部の単語を知っている人はいませんからね!
オススメ書籍
最後に
ここまでお読みいただきありがとうございます。
今日は「【中学校・高校】リスニング能力を伸ばす「ディクトグロス」とは? 〜英語授業〜」をお伝えしました。
ディクトグロスは生徒主体型の授業になります。もちろん、事前事後指導は大切になりますが、聞いた音声の内容を復元するこの活動はとても有効です。ぜひトライしてみてください。
本日は以上です。お読みいただきありがとうございました。もしよろしければ下のランキングをポチッと押していただけるとありがたいです。
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