こんにちは、草食系高校教師です。
今日は「【中学校・高校】私立学校が生き残るためにするべき5つのこと 〜生徒募集を成功させる〜」をお伝えします。
日本全国には私立高校が1320校あります。(令和2年度学校基本調査より)
そして、その学校を2つに分けるとしたら、
【生徒募集が成功している学校】と【生徒募集が成功していない学校】です。
今日は後者に焦点を当て、私立学校が生き残るためにすることを考えました。というよりも私自身が入試広報を担当していたので、これから紹介することを提案・実践してきました。
現在は学校が変わったこともあり入試広報ではありませんが、時代に合ったアプローチの仕方もお伝えできればと思います。また、プロフィールにあるように進路指導部長と英語科主任だったこともあり、学校運営に携わったことがあります。
それでは見てねー!そして、私をどこか採用してくださーい笑 with良い待遇!
私立高校の学校数
前述の通り、日本にある私立高校は1320校あります。
それでは都道府県別の学校数を見ていきましょう。
ランキング | 都道府県 | 学校数 |
1 | 東京都 | 237校 |
2 | 大阪府 | 97校 |
3 | 神奈川県 | 79校 |
45 | 秋田県 | 5校 |
46 | 沖縄県 | 4校 |
47 | 徳島県 | 3校 |
ご覧のように、都道府県によって大きな差があります。
生徒募集が成功していない私立学校の現状
生徒募集が成功していない私立学校は、経営が苦しいです。以下のようなことが突然起こることがあります。
①ボーナスカット
②昇給なし
③手当カット
④(非)常勤講師の雇用止め
私立学校は基本的に、生徒が学校に支払うお金(受験料・入学金・授業料など)と国からの補助金で学校を運営します。
補助金の基準は学校の規模・校内外活動の規模・部活動の規模・実績などなど本当に様々あります。
つまり、生徒の母数が減ると学校が小規模になるため補助金が少なくなってしまうのです。同様に、生徒の納入金も減ってしまいます。
するべき6つのこと
生徒が募集を成功していない私立学校の入試広報は血眼にして生徒募集をしているのは間違いありません。
物理的に全国の生徒総数が減少していることもあり、入学生徒(専願生徒)を確保することが難しい時代になっています。それでも学校存続のためにはあらゆる手を使って生徒を確保しなければいけません。
生徒募集は本当に難しいのです。
①SNSを活用する
SNS活用はshouldではなく、mustだと思います。
2022年現在、YoutubeやTiktokなどのSNS等で「個人がコンテンツを作成・発信し、収益化できる」時代となりました。その影響もあり「自分がしたいこと」をするための学校選びをしている傾向にあることが、通信制高校の入学者増加でわかります。
私は学級担任として高校1年生の4月に自己紹介カードを書かせますが「どんな高校生活を送りたいか」という質問を必ず書かせます。明確な解答を書ける生徒は少ないですが、9割がざっくりな回答で「楽しい高校生活」と書きます。
つまり生徒が求めているのは「楽しい学校生活」です。「楽しい学校生活」の感覚は人それぞれですが、まずは入学前に誰もが笑顔になる「楽しそうな学校生活」をSNSを通して見せるのはいかがでしょうか。
また、保護者が学校に求めることは様々あります。統計を取っているWebページを見てみると以下のように書かれています。
「コミュニケーション能力を伸ばすこと」
「社会規範を学ぶこと」
「ICT教育が充実していること」
「学力を伸ばすこと」
これはこれで当てはまっているに違いありません。しかし、私がこれまで多くの保護者と話をしてきて1番求めていると感じるのは「楽しく安心して学校に通うこと」です。そして、学校を選ぶ決定権は生徒自身にあることが多いとわかりました。(地域性もあるかもしれません)
楽しい学校かどうかの判断は高度情報化社会の今、インターネットが基本です。そして、多くは学校のホームページとSNS経由です。もちろん、学校見学やオープンスクール(後述する)も判断の材料です。
ここで私が提案したいのは、小学生や中学生が使っているあろう主要な全てのSNSを活用することです。
①Tiktok
②Instagram
③Twitter
④LINE *公式にて発信
この4つのツールで「楽しそうな学校生活」を作り上げるのです。内容は以下のような例があります。
①教員紹介
②学校行事紹介
③部活紹介
④学校生活紹介
特に、「①教員紹介」はとてもとても大事です。面白い先生が学校にいることは学校の武器なので、動画や写真内でダンスをしたり面白いポーズを取ったりする方が良いです。さらに、職員間の仲の良さをアピールすることもアピールの1つです。
そして、そのSNSの運用は、教員が行う方がベターです。もちろん生徒会が運営したり、同好会や部を作って運営したりしている学校もありますが、外部に学校の情報を見せるということはとても神経を使うので安全性を考えると教員が管理している方がやりやすいと思います。
生徒にボランティアを募って一緒に作成するのもとても面白いですよ!やはり編集のプロは生徒なので、私は手伝ってもらっていました!
あ、言い忘れてましたが毎日更新ですよ!!継続は力なりです!
②満足度を意識する
それでは2つ目の「満足度を意識する」を見ていきましょう。
「SNSで集客して入学したから終了!」ではダメーです。
結局のところ、例外なく在校生の満足度が1番の集客力です。食べログはネット上の口コミサイトですが、在校生はオフラインの歩く伝書鳩です。(言い方悪くてすいません)
何が言いたいかと言うと、在校生の後ろには「家族・後輩・友達等」がいます。在校生が「学校楽しい」と言えば、それが渡りわたって今後入学する小学生や中学生、又はその保護者に伝わるかもしれないと言うことです。
食べログがなかった頃も行列ができるお店はありましたよね?それは口コミで情報を得て来店したに違いありません。それほど口コミとは強力なパワーを持っているのです。
では一体在校生の満足度を上げるためにはどうすれば良いのでしょうか。まずは、ターゲット生徒を決めましょう。
部活動に所属している生徒や勉強が得意な生徒は比較的満足度は高いと思います。
しかし、以下のような生徒はどうでしょうか。
①部活動に所属していない
*小学校・中学校では部活動に所属していたけど辞めてしまった
②勉強が苦手な生徒
③学校での存在意義を感じられていない生徒
私はこの層の生徒の満足度が何よりも大切だと思います。
そして、このような生徒の特徴は2種類あり、1つ目は静かな生徒、2つ目は少しやんちゃな傾向にある生徒です。後者はよく注意されていませんか? 先生に見て欲しいから化粧をしたり少し目立つようなことをしたりしませんか?
それは学校に対する満足度より不満足度の方が高いからです。
したがって、生徒の満足度を上げるためのターゲット生徒は「少しやんちゃな傾向にある生徒」としたいと思います。
それではターゲット生徒の満足度を上げるための方法を見ていきまshow time!!
1-毎日声かけをする
毎日声かけをすると相手は「見られている」「気にかけてもらっている」と思います。実際に大人も上司に「最近どうやー」と聞かれるのは悪い気はしませんし、何よりも気にかけてもらっていると感じますよね。
これは学級担任だけが行うのではなく、教科担任や学年の先生も同様に行います。学年会議で「この生徒良い方向に持っていきたいので声かけお願いします!」と協力要請しましょう! そうすれば皆さん協力してくれるはずです。
2-役割を与える
学校での存在意義を高めるために、役割を与えると良いと思います。
それは小さなことでも大きなことでもなんでもいいのです。
例えば、
①号令係にする
②学級委員長にする
③行事の代表にする
④掃除の報告係にする
こういったものがあります。
これは私の成功体験ですが、かなりやんちゃな生徒を体育大会のクラス代表にしたらクラスが優勝し、クラスメイトから認められるようになり、それ以降は心も見た目も落ち着いたことがありました。
生徒募集の話に戻りますが、中学では悪名高い生徒が「高校では落ち着いた」となれば、その「高校の指導力が高い」と言う評判に持っていくことができます。
③オープンスクールと学校祭に力を入れる
小学生や中学生が実際に初めて来校する機会はほとんどが「オープンスクール」か「学校祭(文化祭)」です。
この2つが勝負です!!!
この2行事の「質」が入学者数に直結すると言っても過言ではありません。
それでは、2つ別々に見ていきましょう。
1- オープンスクール
オープンスクールは、入学希望の児童・生徒が来校し学校を体験する日のことです。
オープンスクールでは以下のようなことをします。(学校によって全然違う)
①全体会 *校長挨拶など
②授業体験
③制服体験
④部活体験
⑤個別相談会
これらを体験し、「この学校に行きたい!!!!」と思わせなければいけません。
正直、①〜⑤は全て担当する教員の力量によって変わってしまうのでなんとも言えません。
しかし、ここで私が提案したいのは「演出」です。教員1人1人の能力は一朝一夕で変えられませんが、演出方法(見せ方)は変えられます。
例えば
①全体会で見せる動画を作る
②全体会(体育館やホール)の装飾をする
③校舎内を装飾する
④校門で吹奏楽が演奏する
⑤司会進行を生徒が行う
「楽しい学校なんだよー!」というのを作り上げていきます。
2-学校祭(文化祭)
学校祭は、生徒主催の校内のお祭りです。
コロナ禍では制限されているところもありますが、基本的に「保護者・他の高校の生徒・地域住民等」が来校することができます。
男子校や女子校では、「異性の来校禁止」とされているところがあります!
④説明会のあり方を変える
私立学校は様々な場面で学校説明会があります。
①入学希望者の生徒・保護者向け説明会
②塾対象説明会
③中学生対象説明会(中学校に行く)
④私立学校合同説明会
これらの説明会を開催、又は説明会に参加し生徒募集をします。
保護者塾講師の方向けであれば、お堅い話し方や内容で良いかもしれませんが、中学生に向けては「楽しそう!!」と思わせる「内容」にするのはいかがでしょうか。
学校説明会の大まかな流れは、学校紹介動画→学校説明(教育目標や内容、部活動紹介、学校行事紹介)です。学校説明はパワーポイントで行うことが多いでしょう。
しかーし、そのパワーポイントがダサい
TiktokやYoutubeで目が肥えている中学生に簡素な絵と字ばかりのスライドでは「目」で楽しいと思わせることができません。
色使い・余白・字体などを工夫すればパワーポイント1つで印象を180度変えられるかもしれません。
さらに、説明会ではほとんどの学校が入試広報部長か教頭や校長が説明します。正直、ただスライドごとに淡々と説明していることが多いので面白くありません。
時にはクイズを出してみたり、音を使ってみたりと印象に残る構成にするのがいいと思います。
私は、教員兼入試広報部として中学生向けに学校説明会を行ったことがありますが、現在の学校の様子をライブ中継して見せたことがあります。「ICT教育も発展してますよー!」というアピールにもなるので一石二鳥です!
⑤パンフレットを変える
学校パンフレットは「生徒募集の顔」といっても過言ではないくらい重要なものです。
小学校や中学校回りをする時・新聞や雑誌に広告を載せる時・公共交通機関に貼る時・地域の掲示板に貼る時など、様々な場面でパンフレットが公になります。
1番多いタイプが在校生(1人か数人)をモデルとして、写真撮影したものです。学校の特徴である場所で撮影し、校章や学校の場所、学校名などをレイアウトしたパンフレットです。
そのありきたりなパンフレットを抜本的に変えましょう!
お手本としては、近畿大学の独創的なパンフレットです。
パンフレットだけの効果ではありませんが、私立大学の志願者数9年連続全国1位です。
⑥進学実績を上げる
手っ取り早く生徒募集を成功させるのは、進学実績を上げることです。
東大30名!京大20名!早稲田10名!慶應5名!という学校に多くの生徒が集まります。それはその地域の学校のブランドや保護者の信頼感が関係しているのかもしれません。
進学実績をいきなり上げるのはほぼ不可能!
そうなんです。”ほぼ”不可能なんです。しかし、その”ほぼ”がポイントなんです。
進学実績を上げるのには最低でも3年かかりますが、実は1年で進学実績を上げる方法があります。それは、ズバリ「国公立大学の学校推薦型入試」を使うことです。
なぜ国公立にしたかと言うと、単純に「国公立大学に合格する=すごいこと」という方程式は昔も今も変わらないからです。
今や9割の国公立大学が学校推薦型選抜入試を導入しています。その中でも「学科試験を科していない国公立大学」が狙い目です。
その場合、評価対象となるのは、
①評定平均値
②書類(志望理由書など)
③面接(プレゼンテーション、口頭試問など)
④小論文
基本的には以上の4つとなります。
つまり、面接や小論文に力を入れたら国公立大学に合格できる時代なのです。
選抜試験が行われるのが10月〜12月にかけてですので、4月からの半年間ほど集中的に対策すれば合格させられるかもしれません。
その指導がとてもとても大変なのです。国語の教員総動員してもらいましょう!
最後に
今日は「【中学校・高校】私立学校が生き残るためにするべき5つのこと 〜生徒募集を成功させる〜」をお伝えしました。
今は私立高校だけでなく、専門学校・短期大学・私立大学など、生徒募集に苦戦している学校が多くあります。どの学校もあらゆる手を使って生徒募集していることでしょう。
私はそのあらゆる手段を考えるのが好きでしたし、マーケティングを勉強するきっかけにもなりました。
本日は以上です。読んでいただきありがとうございました。もしよろしければ下のランキングをポチッと押していただけると嬉しいです。
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