みなさんこんにちは、草食系高校教師です。
今日は「【中学校・高校】問い(疑問)から始まる英語授業 文法授業とリーディング授業の実践例〜」をお伝えします。
みなさん、授業始まりは何をするでしょうか。
ウォームアップアクティビティ?オーラルイントロダクション?
色んな方法があると思います。
授業に正解はないのでどんなスタートでも私はいいと思います。
さて、この記事では授業の始まりアイディアとして「文法」と「リーディング」の2つに分けて「問いから始まる授業」をお伝えします。

「できない」ものを「できる」にすることが我々の仕事なので、最初に「できない」ものを提示するのも大切なのかなと。
抽象的な目標設定が多い?
最初は「抽象的な目標設定が多い?」をお伝えします。
授業の始まりで「今日の目標」を示す先生は多いのではないでしょうか。
私も示すようにしています。
しかし、どうしても以下のような抽象的な目標になることが多いと思います。
これはおそらく日本人が日常的に抽象的な目標を見たり聞いたり設定したりされたりすることが関係していると思います。
例えば「体重を減らす」。これは抽象的な目標設定です。
これを具体的にするには以下のような目標になるはずです。
学校現場でも「教室をきれいにしましょう」「友達と仲良くしましょう」のような抽象的な目標が散見されます。
これはおそらく日本語の「察する文化」が影響しているかもしれません。
極端な例を示すと、京都人が使う「ぶぶ漬けでもどうどす?」。
これは「早く帰りなさい」と暗黙に伝える言葉であり、言われた側はそれを察して帰る必要があると言われています。(真相はわかりません。。。)
極端な例ではありますが、日常生活を想像すると直接的な言葉ではなく間接的な言葉で相手に察してもらおうとすることが多いのではないでしょうか。
察する文化は言語にも影響
次に「察する文化は言語にも影響」を見ていきましょう。
松尾芭蕉の俳句、「古池や蛙飛び込む水の音」の英訳をご存知でしょうか。
以下は一例になります。
The ancient pond A frog leaps in The sound of the water.
ドナルド・キーン 訳
Old pond―
frogs jumping in―
sound of water.
小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)訳
The ancient pond!
A frog plunged ―
The sound of the water!
宮森麻太郎 訳
Into an old pond
A frog took a sudden plunge,
Then is heard a splash.
新渡戸稲造 訳
An old silent pond…
A frog jumps into the pond splash!
silence again.
(アメリカの小学校1年生用の教科書に載っている訳)
ここで確認して欲しいのは、蛙が単数形か複数形かです。
日本語には単数や複数形を必ず表すというルールはないので、受け取る人によってはどちらにでも解釈することができます。
松尾芭蕉にそこまでの狙いがあったかどうかは定かではありませんが、これも察する文化の1つではないでしょうか。
問いから始まる文法授業

それでは本題の1つ目、「問いから始まる文法授業」を見ていきましょう。
例えば、授業内容を「前置詞+目的格の関係代名詞」としましょう。
何の予備知識も与えず以下の問題を「解いてみましょう」にします。
These are the tools ( ) he built his own house. (青山学院大)
①that ②with that ③with which ④which
*選択肢はなくても良い
問題は、手が届かないのような大学のものを用意すると良いと思います。
そして、生徒の大半はこの問題の答えを①か④を選ぶので、答えを簡単に示した後、「この授業が終わる頃にはこの問題の根拠を理解し解けるようになります。青山学院大学合格できるかもしれません。」と強気の発言をしましょう。
どうでしょう。
「今日は前置詞+目的格の関係代名詞を理解しよう!」よりは具体的な目標を示せてはいないでしょうか。
大人もそうですが、目標(終わり)が見えていないと不安になりませんか。
職員会議に参加するとして、「15時〜」と終わりの時間が示されていないとストレスではありませんか。
私は白髪が十本増えそうなくらいストレスです。早く帰りたいから!!!!
話が横道にそれましたが、具体的な目標を示すことは授業の受けやすさにもつながるかもしれません。
さて、この展開の授業のまとめでは、最初に示した問題の類似したものを用意し、「ほら、授業聞いていたら解けるようになるでしょ!難しい問題も解けるんだぞ!」となるように授業展開をしていきます。
表向きの狙いは「できないものができるようになる」ですが、裏のねらいは「できないものができるようになり、学習意欲を高めるや自己肯定感を高める」です。
どうしても英語を苦手とする生徒はバイアスからか「青山学院大?偏差値65くらい?解けるわけないやろw」の感じになりますが何回かこのタイプの授業をすると「あれ?いけるかも」に変わってくるかもしれません。
「苦手という固定観念が自分の可能性を低くするんやでー。みんなは伸び代しかないぞー。」と伝えていくことも大事なのかもしれませんね。
問いから始まるリーディング授業

次はリーディング授業です。
リーディング授業は、「リーディングの内容に沿った問い」や「読みにくい文章を使った問い」からスタートします。
高校教科書のLAND MARKより問いを作成しましたが、ここでの問いは本文中に答えが載っているものというよりかは本文中の内容を自分ごとに置き換えたら「どう思いますか?」といった問いです。
リーディングの内容に沿った問いは、オープンクエスチョンでなければ生徒は考えながら授業を受けないかもしれません。
授業のまとめの段階で「今日の本文の内容を勉強して授業冒頭で示した問いについてみなさんはどのように考えますか?書いてみましょう。(発表してみましょう)」と私はしています。
要は、ドラマや映画でいうところの本編とは別のサイドストーリーを授業で行うということです。

英語だけを勉強することで精一杯だと思いますが、本文の内容から考えを深めることも大切だと思いますねーーーー!
それでは次に「読みにくい文章を使った問いの例」を見ていきましょう。
これも「問いから始まる文法授業」同様に、「この文章を読んでみましょう」からスタートします。
周りと相談しても単語を調べても構いません。
答えに辿り着く生徒もいますが大半ができないでしょう。
ここからは生徒と少し会話をします。
「どこが読みにくい?」「どの辺が難しかった?」などと投げかけます。
大体が同じ箇所を言ってくる(狙い通り)ので、そこを重点的に説明していきます。
後は、もう一度トライ→類似問題を解く→はいできた!
の順番です。
1回の授業にあれもこれも詰め込みすぎても生徒はしんどいので、重要な内容を私は2個くらいまでにしています。
4単位授業で1回の授業で2個重要なことをすると仮定すると授業回数が100回くらいあるので200個くらいの項目をクリアすることができます。
こう考えると2個で十分です。
そして、類似問題を探すのが面倒だと考えているあなた!そうだよあなただよ!!!
ChatGPTやGeminiなどの生成AIを使ってください。
オススメ書籍

オススメ書籍を見ていきましょう。
最後に

今日は「【中学校・高校】問い(疑問)から始まる英語授業 文法授業とリーディング授業の実践例〜」をお伝えしました。
個人的に具体的な目標を提示することはマストだと思っています。
しかし「授業始めるぞー」の言葉で進めるのもありだと思います。
つまり、授業に正解はないので授業者がしたいようにすれば良いと思います。
1つの引き出しだと思ってトライしてみてください。授業はトライアル&エラーを繰り返していくしかありませんよね。
本日は以上です。ここまでお付き合いいただきありがとうございました。良い授業をお互いに作っていきましょう!
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