みなさんこんにちは、草食系高校教師です。
今日は「【中学校・高校】英文法の導入はパターンプラクティス 〜オールイングリッシュ授業の取り組み〜」をお伝えします。
中高教員のみなさん、文法導入は悩みますよね。
「今日の晩御飯何にしようかなー♪」くらい悩みます。
どの角度から切り込むか、どの視覚教材がいいか、その後の活動にどのように繋げるかなど、考えることはたくさんあります。
私も随分悩んできました。そして、今でもずーっと悩んでいます。
ここ2年くらいパターンプラクティスを使った文法導入をしているですが、生徒の反応や考査の結果を含めてとてもしっくりきているのでご紹介します。
授業に正解なんてないです。ぜひ引き出しを増やす一助にしてください!
着想を得たALTの授業
まずは「着想を得たALTの授業」を見ていきましょう。
昨今、英語教育強化により、もはやALT(Assistant Language Teacher=外国語指導助手)ではなく、PLT(Principal Language Teacher=外国語指導主導者)←(私が作った言葉)ではないでしょうか。
授業をネイティブスピーカーが行い、それをJTE(Japanese teacher of English)がサポートする構図が昨今多いと思います。
私はこれまで数十名の(準)英語スピーカーと組んで授業を行ってきました。世界大学ランキング5位以内に入る優秀な方もいましたし、ただ母国語が英語で教育学や言語学を学んでいない方もいました。
本当に様々な方々と組んできて、日本の生徒が興味を持ち、集中し、能力が伸びた授業を私のレンズを通して見ると、パターンプラクティスが多いことに気づきました。
オールイングリッシュだからこその授業スタイルなのかもしれませんが、視覚教材を使い、教え込みではなく気づきを促す授業スタイルは、昨今の生徒事情を総合的に考えて有効なのではないかと思っています。
ALTから学ぶことは多くて、私の教え方はこれまで関わってきたALTをベースにしている。「英語のみを使って理解させる」彼らの授業は説明や活動がとてもシンプル。言葉で理解させるというよりも視覚教材と例文だけでわかるように組み立てている。
— 草食系高校教師✖️ブロガー✖️英語授業アクティビティクリエーター (@soushokuteacher) May 14, 2024
日本人が見習うところはたくさんある。
パターンプラクティスとは
それでは「パターンプラクティスとは」を見ていきましょう。
ここでは歴史と方法に分けてお伝えします。
パターンプラクティスの歴史
パターンプラクティスは、アメリカ構造主義言語学の「オーディオリンガルメソッド」に基づく言語教授法の一つです。
第2次世界大戦中に米軍が言語習得として採用して大きな成果をあげた「Army Specialized Training Program(ASTP)」がモデルとなっています。
アメリカ陸軍の外国語能力は、第一次大戦時には非常に低く、欧州諸国の軍隊の笑いものになったほどと言われています。 そこで、第二次大戦中の1943年に、ペンシルバニア・イエール・ミシガンなど諸大学の協力を得て、ASTPが開始されました。
日本では、戦後1950年代後半から、学習の現場に盛んに取り入れられるようになりました。
パターンプラクティスの方法
次に「パターンプラクティスの方法」を見ていきましょう
方法は、まず1つ文章パターン(型)を習得し、その文型を反復・応用しながら別の表現に変えていき、様々な表現を使えるようにしていく英語学習法です。
パターンプラクティスには以下の3つの練習方法があります。
- 置換(substitution)
- 転換(transformation)
- 拡充(expansion)
それではこの3つを使い、具体的にどのようなパターンプラクティスがあるかを見ていきましょう。
パターンプラクティス例
次に「パターンプラクティス例」を見ていきましょう。
パターンプラクティスの最大のポイントは「気づきを促すこと」だと思います。
1個ずつ教え込みがなくても「あ、こうやって使うんだ!」と自分に落とし込みができる様な仕掛けが必要だと思います。
それでは今回は、進行形を使って上記の3つの練習方法と共にパターンプラクティスの具体例を見ていきましょう。
文章パターンの最初は「She is reading a book」にします。
授業方法は、「視覚教材を見せる→教員が読む→生徒がリピートする。」です。
①置換(substitution)
1つ目は「置換」です。
私は名詞と動詞の置換をするようにしています。
- She is reading a book.
- She is reading a newspaper.
- She is reading a magazine.
- She is reading a letter.
- She is writing a letter.
- She is reading a letter.
- She is folding a letter.
- She is opening a letter.
視覚教材を見せながらですよ!!
②転換(transformation)
2つ目は「転換」です。
転換では、「平叙文→否定文」「平叙文→疑問文」「時制の変更」(「能動態→受動態」)にしていきます。
- She is not reading a book.
- She is not reading a newspaper.
- She is not reading a magazine.
- She is not reading a report.
- Is she reading a book?
- Is she reading a newspaper?
- Is she reading a magazine?
- Is she reading a report?
- She was reading a book.
- She was reading a newspaper.
- She will be reading a magazine.
- She will be reading a letter.
進行形の時制の変換の時には、時間軸がわかるように時制を表にしたものを一緒に見せるようにしています。
③拡充(expansion)
3つ目は「拡充」です。
元の文(She is reading a book)に新しい要素を加えて、文を長くしたり複雑にしたりする練習です。
- She is reading a book.
- ラベルShe is reading a book in the library.
- ラベルShe is reading a book in the library with my friends.
- ラベルShe is reading a letter in the library with my friends now.
今回の新しい要素はM(修飾語)を主に入れましたが、文法によってはもっと複雑な形を紹介することができます。
目で見て耳で聞いてアウトプットする。という活動は本来、言語習得の基礎ですよね。
パターンプラクティス実践例
次に「パターンプラクティス実践例」を見ていきましょう。
正直、上記の「パターンプラクティス例」のように、3つのパターンで1つずつ1から視覚教材を作るのはかなり労力が要ります。
従って、私は元の文と新しく学習する文法で何が違うかの間違い探しに気付けるようなアプローチから始めるようにしています。
例えば、分詞構文を取り上げてみていきましょう。
①
If you turn to the left, you can find the post office.
↓
Turning to the left, you can find the post office.
②
When he went to Tokyo, he watched a soccer game
↓
Going to Tokyo,he watched a soccer game.
「何が変わった(なくなった)」「どのように変わった」「なぜ変わるか」と言った発問をし→生徒が個人・ペア・グループで相談→全体でディスカッション という流れで展開するようにしています。
そして、もう1つ例題を用意しておいて、生徒に作り方等を説明してもらいます。
「こんな授業はハイレベルの高校じゃないと無理だよー」と思ったそこのあなた。
これは偏差値60の授業ではなく、偏差値40でも成り立ちます。
この活動での気づきは「接続詞と主語が消え、動詞が~ingになった」だけでとりあえずOKだと思います。
とりあえずサイゼリヤの間違い探し1個クリアしたくらいからスタートで十分です。
その後、接続詞が違うことに気づき、「じゃあ英語を読む時の話をするけど、本文中にあったらどうすればいい?」と作り方ではなく、分詞構文が多く出てくるリーディングにつなげていけばいいと思います。
「分詞構文勉強するぞー」という入りより「サイゼリヤ行ったことある?あそこの間違い探し難しいよな。今日は間違い探しをするぞー」くらいの入りの方が興味を持ちますよね!
オススメ書籍
それではオススメ書籍を見ていきましょう。
最後に
今日は「【中学校・高校】英文法の導入はパターンプラクティス 〜オールイングリッシュ授業の取り組み〜」をお伝えしました。
結局のところ、教え込みより自分で気づいた方が記憶に残ると思います。そして、YoutubeやTikTokなどの動画コンテンツが人気な昨今、展開が早い授業スタイルが求められているような気がします。
次々に展開されるパターンプラクティスは生徒の興味関心を惹き、顔を上げる一助になる授業スタイルだと思います。
ハイレベル高校では回りくどい方法かもしれませんが、中堅校以下くらいであれば有効だと思います。何よりも「授業を受けた感」「勉強した感」を与えられると思います。(生徒の満足度に直結)
ぜひ引き出しの1つとして受け取っていただければと思います。
資料作成の相談等も募集していますので上にある問い合わせ・Twitterから連絡いただければ幸いです。
本日は以上です。ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
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